白猫の部屋

塗り絵など趣味についてのブログ 映画や読書の感想

「ビッグアイズ」と孤独な子供時代

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1960年代に大ブームになった絵とキーン夫妻の物語

妻のマーガレットは才能はあるけど商才はない、夫のウォルターは才能はないけど商才はある

ウォルターは
「女は舐められるから自分が描いたことにしたほうがいい」
とマーガレットをなだめて絵を“自分のもの”にしてしまいます。彼女が得るはずだった名声や富を独占していきます。

芸術的なレベルの虚言癖こそ彼の武器。とにかく話をでっち上げるのが上手い。そして、パフォーマンスも大げさで押しも強い、営業や詐欺師としては一流です!

絵は金持ちがリビングに飾る物だった時代に、ポストカードやポスターを量産して一般庶民でも手に取れるようにしたことも、この絵が流行した要因だったようです。

絵が売れるにしたがって、ウォルターは自ら築き上げた虚像を死守することに腐心していきます。
子供に母親が絵を描いていることを内緒にしたり、妻から友達を遠ざけたり見事なDV夫に成り果ててしまいました。
皮肉なことに絵も売れるほど、「安っぽい」と酷評されるようになっていきます。

そして、最後は妻に嘘をばらされてあっけなく撃沈してしまいます。その後、極貧生活のなか死亡。口先男として哀れな末路を歩むことに

しかし、惚れた男にとことん尽くして言いなりになってしまうマーガレットもある意味、病的な人間です。
ウォルターの幼少期も明るい感じがしませんが、マーガレットも子供時代に何か問題を抱えていたような雰囲気がします。影のある者同士が惹かれ合って、最悪な結末になってしまったんだと思います。
→もしかしてアダルトチルドレン

映画のなかで最初に絵を買ったマダムの言葉がとても印象的でした。

マダム「ねぇ、この子見てよ。なんだか凄く悲しそう…」

男「貧しくて?」

マダム「孤独だからよ」

このマダムは絵の女の子に昔の自分を重ねたんでしょう。一見したら派手で社交的でも心のなかは孤独なままなんだと思います。人はどんなに綺麗な絵でも自分とシンクロしないと惹かれないものですから。
酷評する人間もいたけど、マーガレットの作品にはそれなりのパワーとメッセージ性があったんだと思います。

商売としての絵、精神としての絵
両方とも見れて楽しい映画でした。

60年代のファッションやインテリアもこの映画の見所
かわいい(*^^*)

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しかし、気になるのは娘との関係
娘より男を優先したり、新興宗教(エホバの証人)にハマったりと…このあとグレてなきゃいいけど(^_^;)